1992年11月28日
都市住宅学会設立総会決議
都市住宅学会設立総会決議
わが国の住宅事情は全国的にはかなりの改善を見せているものの、都市住宅に関しては依然厳しい状況にあり、豊かな都市居住の実現のため、早急な問題解決と新たな課題への対応が迫られている。特にわが国では、経済産業活動の顕著な発展に比べ、生活面とりわけ住生活面の向上が立ち遅れていることは、つとに指摘されているところであり、その器としての住宅や市街地の物理的な量・質の改善のみならず、そこでの営みが精神面も含め充実していくことが求められている。
例えば、大都市地域の中堅勤労者にとっては、良好な住宅を適正な費用負担で取得することは極めて困難な実情にありながら、他方では都心地域は人口減少に悩むという深刻な矛盾が発生している。またインナーシティでは、住工・住商混在に伴う社会的摩擦が生じ、老朽低質密集市街地の更新が停滞している。全国の多くの都市では、産業構造の転換によって生まれた遊休地の住宅地等への利用転換が課題となっている。一方、大都市においては、超高層住宅やマルチ居住などの新しい居住形態が登場する中で、人々の居住心理や家族関係に配慮した住まいのあり方の検討が求められている。さらに地方中小都市では、地域の特色を生かした住まいを中心とするまちづくりが、これからの重要なテーマである。
そして、都市、農村を通じてすべての国民の住宅に関わる問題として、急速に到来しつつある都市型社会・高齢化社会への対応という視点を欠かすことはできない。さらに近年は、都市の高度情報化に対応して住宅・住宅設備に求められる機能も高度化・多様化するとともに、地球環境問題の深刻化によって住宅にも新たな社会的責任が要請されており、このような新たな潮流の中で住宅・居住のあり方を探る必要性が高まっている。同時に、日本の文化を体現する客体としての住宅の重要性もますます高まっている。
一方では、大都市の住宅問題は現在先進諸国が共通に直面している問題であることから、相互に知見と経験を交流させながらこの問題に対処してゆくことが必要であるとともに、第三世界諸国の住宅事情改善のため、ますます大きな役割が日本に対して求められている。
これらの都市住宅の諸問題を解決し、新たな課題に対応していくためには、長期的視野にたった適切な行政施策が講じられるとともに、優れた計画・設計・建設・管理に係る技術・システムが適用される必要がある。そしてその前提として、都市の住宅や居住に関わるハードとソフトの総合的な学術研究が不可欠である。すなわち、都市構造、土地利用構造、土地・住宅市場構造等の分析、ライフスタイル、居住形態、居住心理等に関する研究、さらにこれらを踏まえた土地利用管理システム、ハウジングシステム、タックス・ファイナンスシステム等に関する検討、そして望ましい市街地像、居住空間像の研究など、関連する諸分野の研究が相互に影響しあいつつ総合的に行われる必要がある。
従来、都市住宅・居住に関する研究は、建築学、住居学、都市計画・社会工学、法学、経済学、社会福祉学、社会学、心理学、政治学等さまざまな学術研究分野において行われ、多くの貴重な研究成果が蓄積されてきた。しかし残念ながら、それらの多くは個別分野の中だけの研究に留まっており、相互に交流し総合的・体系的な研究に高める努力は十分には行われてきたとは言い難い。このように、学際的研究の進展がみられなかった大きな原因のひとつとして、各分野の都市住宅研究者が共通の問題意識のもとに結集する場としての学会がなかったことが挙げられる。
このため、都市住宅の立地、建設、流通、機能等、及びこれらをめぐる社会、経済、技術、文化の各領域における諸現象のメカニズムを実証的に把握する(実証科学)とともに、社会システムや居住空間等の望ましいあり方を研究する(規範科学)総合学としての「都市住宅学」を構築することを目的として、「都市住宅学会」を設立する。
例えば、大都市地域の中堅勤労者にとっては、良好な住宅を適正な費用負担で取得することは極めて困難な実情にありながら、他方では都心地域は人口減少に悩むという深刻な矛盾が発生している。またインナーシティでは、住工・住商混在に伴う社会的摩擦が生じ、老朽低質密集市街地の更新が停滞している。全国の多くの都市では、産業構造の転換によって生まれた遊休地の住宅地等への利用転換が課題となっている。一方、大都市においては、超高層住宅やマルチ居住などの新しい居住形態が登場する中で、人々の居住心理や家族関係に配慮した住まいのあり方の検討が求められている。さらに地方中小都市では、地域の特色を生かした住まいを中心とするまちづくりが、これからの重要なテーマである。
そして、都市、農村を通じてすべての国民の住宅に関わる問題として、急速に到来しつつある都市型社会・高齢化社会への対応という視点を欠かすことはできない。さらに近年は、都市の高度情報化に対応して住宅・住宅設備に求められる機能も高度化・多様化するとともに、地球環境問題の深刻化によって住宅にも新たな社会的責任が要請されており、このような新たな潮流の中で住宅・居住のあり方を探る必要性が高まっている。同時に、日本の文化を体現する客体としての住宅の重要性もますます高まっている。
一方では、大都市の住宅問題は現在先進諸国が共通に直面している問題であることから、相互に知見と経験を交流させながらこの問題に対処してゆくことが必要であるとともに、第三世界諸国の住宅事情改善のため、ますます大きな役割が日本に対して求められている。
これらの都市住宅の諸問題を解決し、新たな課題に対応していくためには、長期的視野にたった適切な行政施策が講じられるとともに、優れた計画・設計・建設・管理に係る技術・システムが適用される必要がある。そしてその前提として、都市の住宅や居住に関わるハードとソフトの総合的な学術研究が不可欠である。すなわち、都市構造、土地利用構造、土地・住宅市場構造等の分析、ライフスタイル、居住形態、居住心理等に関する研究、さらにこれらを踏まえた土地利用管理システム、ハウジングシステム、タックス・ファイナンスシステム等に関する検討、そして望ましい市街地像、居住空間像の研究など、関連する諸分野の研究が相互に影響しあいつつ総合的に行われる必要がある。
従来、都市住宅・居住に関する研究は、建築学、住居学、都市計画・社会工学、法学、経済学、社会福祉学、社会学、心理学、政治学等さまざまな学術研究分野において行われ、多くの貴重な研究成果が蓄積されてきた。しかし残念ながら、それらの多くは個別分野の中だけの研究に留まっており、相互に交流し総合的・体系的な研究に高める努力は十分には行われてきたとは言い難い。このように、学際的研究の進展がみられなかった大きな原因のひとつとして、各分野の都市住宅研究者が共通の問題意識のもとに結集する場としての学会がなかったことが挙げられる。
このため、都市住宅の立地、建設、流通、機能等、及びこれらをめぐる社会、経済、技術、文化の各領域における諸現象のメカニズムを実証的に把握する(実証科学)とともに、社会システムや居住空間等の望ましいあり方を研究する(規範科学)総合学としての「都市住宅学」を構築することを目的として、「都市住宅学会」を設立する。